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仮想通貨(ビットコイン)とは
今現在、仮想通貨にはいろいろ種類があるらしいが、その本質的な拡大要因はビットコインだろう。他の仮想通貨どころか、あまり詳しくビットコインを知らない。
ビットコインはP2Pを利用するブロックチェーン技術を用いた管理者なしの分散台帳に特徴がある。P2Pを担う自由参加の端末をノードと呼び、主に記帳の演算に用いられる記帳が発生するのはトランザクション(取引)時で、コンセンサス(同意)と2重取引でないプルーフ(証明)に複数のノードが用いられる。このためにリソースを割く参加者をマイナー(採掘者)、演算することをマイニング(採掘)と呼び、これを Proof of Work と呼ぶ。送金リクエストをP2Pに参加するノードがブロックの検証を行い、ノンスと呼ばれる文字列を一番早く探し当てたノードに新規ビットコインが支給される。探し当てられなかったノードもこのブロックのプルーフに割り当てられ、認証する。ビットコインの生成には半減期が設けられ、始めは1ブロックで50BTCの支給、21万ブロック毎に半減し、今は2回目の半減期を経て12.5BTCとなっている。自由参加のノードのリソースによって安全性が確保されるブロックチェーンだが、この PoW が特定のグループなどに51%支配されると二重支払いなどの不正が可能となり、これを51%攻撃と呼ぶ。
他の仮想通貨については全く知識を持たないが、多分ビットコインは理想化された仮想通貨であると言えるだろう。アドミニスターを持たない完全にアナーキーな通貨として、矛盾がまかり通る現実通貨に対峙したことで完璧な側面が強調されるが、果たしてそれは流通や利用に耐えうるのだろうか?
仮想通貨(ビットコイン)の強み
- 決済の信頼性が高い
- 国や政府、中央銀行の意向、動向に影響されない
- 匿名性が高い
- 決済コストを報酬システムで賄う
仮想通貨(ビットコイン)の弱み
- 裏付け(国や政府などのバックボーン)がない
- 決済が遅い
- 需要に対して流通量が極端に少ない
- マネーロンダリングに利用される
通貨という幻想
現代に、というよりも、貨幣社会になって此の方、人々は幻想の中に生きていると言える。あなたが福沢諭吉が描かれた紙幣を喜ぶのは、それが1万円の価値があることを知っているからだ。しかし生まれて此の方日本の紙幣を見たことがない商人と取引をする際、この1万円札はほとんど何の価値もなさないだろう。すなわち通貨が価値を持つためには、使う両者にとり額面と等価な価値があるという認識が必要なのだ。
この感覚を実感するのはすごく難しい。何故なら「貨幣には価値があって当然である」と刷り込まれているからだ。
私たちの労働力の対価は貨幣で支払われているが、これは企業が私たちの労働力を貨幣で買っていることに他ならない。そこで得た貨幣で暮らしに必要な出費を賄う。これは個人が企業の作り出す製品やサービスを買うことである。このように売買サイクルの中に我々は生きている。そしてこのサイクルの中心に位置するのが貨幣である。では、そもそも何故貨幣が必要となったのだろうか?
明日から貨幣での売買ではなく物々交換に代わると言ったらどうなるであろう。あなたが生み出す物やサービスは、それを欲する人が持っている物やサービスとしか交換できないこととなる。これは不便である。こうなると自給自足が基本となるため、文明化の足枷となる。
昔、豪農や米問屋が力を持っていたのは主食であったからだ。しかしその米でさえ価値は安定しない。気候の変動による豊作や冷害などによって需要と供給が崩れ、米相場は変動するのだ。
そこで貴金属を用いた。特に稀少で錆びない金は重宝された。これが金貨や銀貨となり用いられた。光り輝くものに人々は一定の価値を見出し共通の認識を持てたため、硬貨は通貨として使用された。
しかし、持ち運ぶのが不便であり、摩耗による減価もあったため、次第に貴金属との交換を保証する債務証書(手形)に置き換わる。これが兌換紙幣の始まりである。
金を通貨価値の基準とする金本位制のもとで、兌換紙幣はその名の通り、金銀との交換が約束された。それを維持するには金の保有量に対して紙幣の発行されなければならない。しかし、経済成長の下での貨幣需要の高まりに、稀少な金の供給は間に合わなくなった。世界的に金本位制であったため、需給が崩れ金相場は上がったはずだが、その上昇分を紙幣発行に回せないのは、金本位制と兌換紙幣のためであった。ジレンマである。そのため金本位制を止め、不換紙幣へと移行していく。
不換紙幣は供給量をコントロールできる裁量権を持つ代わりに政府の裏付けが必要となる信用紙幣であった。信用が失墜すれば紙屑も同然となる。
自国の紙幣が不安定な国ではボロボロのドル紙幣が幅を利かせている。これこそドルが世界基準通貨である証と言えよう。ドル紙幣に価値があると信じる人が沢山いるからこそ価値があり、流通しているからこそ利用価値がある。このために売買に利用できる通貨(カレンシー)として機能する。
貨幣とは貴金属として始まり、それと交換可能な手形が兌換紙幣となった。ここまでは明確な価値を有したが、不換紙幣に代わると発行体の信用によるため価値は絶対的なものではなくなった。
もしあなたが発行体である国や政府を信用できない場合、そこに流通する紙幣は額面通りの価値を持たないであろうか?あなたがそう思うことは自由であるが、あなた以外の人が額面通りの価値があると信じている場合、その紙幣は利用できるために結局あなたはその通貨を使う限りにおいて幻想の一端を担うことになり、それは価値があると信じることと同義である。
よって通貨とは利用価値があると信じる共同体の共通意識により成り立っている。それ故に通貨は不安定である。しかし一方、物の価値も移ろう。絵画や地価などは顕著である。これは通貨の不安定から来るのか需給の崩れからだろうか?多分どちらも変動の要因となりえる。
砂上の楼閣のように不安定な幻想で成り立つ通貨の価値は、宗教における神のような存在である。それが存在すると信じる限りにおいて、みな幸福なのだ。
ビットコインの実用性
ビットコインは最終的に2100万BTCまでマイニングされるそうだ。採掘され終わるまでには半減期を繰り返すため長い時間がかかるが、相対的に始めが多く採掘されていき、最後の方の増加量は微々たるものになる。
ちなみに2016年に発行された500円硬貨の枚数は2億2100万枚、千円札は15億7000万枚、一万円札は12億3000万枚である。
つまり発行枚数が少なすぎるのだ。通貨は流通して初めて利用できるがその枚数では絶望的である。切り上げのデノミをして増やすことができたとしても、10倍や100倍程度で賄える枚数にはならないだろう。
ビットコインは執筆時のレートで1コイン27万円前後で取引されている。今は投機マネーが入り多少の過熱感も伴って、33万の高値から23万へ急落後、半値戻しで推移している。果たしてコンビニなどで利用可能となっても今使う人はいないだろう。単純に今現在の立ち位置は投機対象や投資商品としてである。また変動幅が大きいため通貨として使う場合は実際の交換レートより大幅なディスカウントをされるだろう。我々が使う基準通貨を基準に考えれば損になるため、現実に使う人はほぼいないため、実際のトランザクションが生まれるのは裏取引や資金洗浄などの実需用のみだろう。割合に北朝鮮などは重宝しているのかもしれない。
問題点はこれだけでなく、今現在想定される取引量は余り多く思えないのにも関わらず、決済が遅いことである。これは売り手側だけでなく買い手側も不便を被るだろう。
ビットコインの問題点
- 枚数が絶対的に足りない
- 投機的であり通貨として不安定
- 決済が遅い
ブロックチェーンがあればよい
銀行や証券会社、投資銀行に中央銀行まで、ブロックチェーン技術に腐心する理由は分散型台帳の利点であるセキュア面と、プルーフオブワークという報酬系システムで管理、記帳、決済コストを無料で済ます仕組みのためである。セキュリティの不安がなく管理コストや決済コストを浮かせられれば銀行が喜ぶのは当然であろう。
つまりこの技術が現在流通している通貨に適用できればいいだけのことなのだ。そうなればビットコインである必要はない。
管理側は完全なブラックボックスを望まず、多少のセキュリティ面を犠牲にしても自分たちのオーダーに従わせるだろう。結局この仮想通貨の戦いに勝つのはビザやマスター、ダイナース、アメリカンエクスプレスなどのクレジット会社なのではないだろうか。
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